連載 とびら
失敗から逃げない.初心にかえる.
和田 陽介
1
1辻村外科病院リハビリテーション部
pp.1371
発行日 2020年12月15日
Published Date 2020/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202131
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もし,「理学療法のすべて」という1,000ページの本があるとしたら,私はまだ10ページほどしか読んでいないのかもしれない.私は1998年に免許を取得した23年目の理学療法士である.これまで,臨床,教育,研究,運営とさまざまな経験をさせていただいてきたが,いつも,勉強するべきことの量の多さに圧倒されている.そもそも,冒頭の「理学療法のすべて」は,時代の変化とともに改訂版が出てくるので,この学びに終わりはない.山登りに例えると,頂上が見えてこないのに,ひたすら登り続けている感覚である.けれども,登っていると新たな景色に出会えて楽しい.その道のりで背負う荷物が重たいと感じるときもあるけれど,背負った分だけ達成感が湧いてくる.だから,この仕事が好きなのだ.
本稿の執筆の機会をいただき,あらためて23年間の具体的なエピソードを振り返ってみた.思い出せることをすべて書くと,この雑誌1冊分になり,和田ジャーナルになってしまう.さすがに編集者の方に怒られそうなので,2つだけ記すことにする.若い頃(今も若いつもりだが),臨床で挫折しそうになった出来事である.
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