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何の因果か「リサーチマインドを持った総合診療医の養成事業」の公募を検討するようにと委員長に指名されました.飲みすぎないように仕事を与えようとする学長,病院長の善意の親心とあきらめ,すぐにワーキンググループ(WG)を組織し,夕方の大切なおいしい御酒を飲めるはずの時間を使って検討を加え,ようやく申請書がほぼ完成するまでにこぎつけることができました.総合診療医の話は2~3年前に代理で日本専門医制度評価認定機構の会議に出たときに聞いてはいましたが,反対意見も多かったし,提示されていた総合診療医の定義が全く理解できませんでした.その定義とは「頻度の高い疾病と傷害,それらの予防,保健と福祉など,健康に関わる幅広い問題について,わが国の医療体制のなかで,適切な初期対応と必要に応じた継続医療を全人的に提供できる医師」とのことです(なんのこっちゃ?).国策としてわが国の医療水準の維持向上,大学の地域医療・社会への貢献による医療不安等の解消が挙げられていることはご存じのこととは思いますが,WGで検討を重ねるうちに,これからの超高齢化社会をにらんで,国家戦略として高齢者を主な対象として在宅医療を含む地域完結型の医療を構築し,将来の医療費抑制という狙いが見えてきたように思います.これをそれらしく記述すると「総合診療専門医は,他の領域別専門医や他職種と連携して,地域の医療,介護,保健などのさまざまな分野において,リーダーシップを発揮しつつ,多様な医療サービス(在宅医療,緩和ケア,高齢者ケアなど)を包括的かつ柔軟に提供するとともに,地域における予防医療・健康増進活動などを行うことにより,地域全体の健康向上に貢献することが期待される」となるのです.
2017年から新しく始まる専門医制度では従来の18基盤学会の専門医に加え,総合診療専門医も基盤専門医に加わる予定になっています.そうなると大学としては総合診療専門医取得コースを作らざるを得なくなるのも間違いないと思います.そのなかで皮膚科診療はどうなるのか見えてこない点も多々ありますが,仕事もほぼ終わったことですし,久しぶりに今日は帰りに鰻で一杯やることができそうです.
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