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東日本大震災と福島原発事故に加え,世界連鎖株安に超円高進行と次々に難題が生じ,日本は戦後最大の国難の真っただ中にある.しかもどの課題に対しても政府は無策であり,大学時代から熱血漢であった同級生の東大アイソトープ総合センター長の児玉龍彦君が放射能対策の怠慢に対し,国会議員を叱り飛ばしたことは久しぶりにスカッとした思いである.福島原発事故は私の生活にも大きな影響を及ぼした.まずは節電である.病院は3%,大学エリアは15%の節電目標を掲げた.診療に関してはクールビズはダメなのでネクタイを着用しているが大汗かきの私には病院での仕事はきつく,すこしバテ気味となった.自宅では夜はなるべく家族全員で1部屋に集まり,27℃に温度を設定してなんとか眠れた.家でもまめに電気を消していると以前かなり電気を無駄に消費していたことがわかった.また,家内が区の子供たちに電気の大切さを教えているとのことで,ほろ酔い加減で帰宅するとソーラーカー・ロボットの作成,磁石で電気を起こす機械のコイル巻きなどを頼んでくるので折角の酔いが吹き飛んでしまった.次は食材である.なんせ大量の放射能のダダ漏れである.生産者の方には申し訳ないが,ずさんな食品検査システムは信用できず,水は西日本,野菜は四国から取り寄せ,肉はすべて外国産のものに変わってしまった.釣り好きの私も釣り場は千葉,茨城を避けている.この方面の釣り宿に聞くと釣り客は激減しているそうである.なるべく神奈川の方面で釣りをするようにしているが,釣った魚も家内に白い目で見られてしまい,魚を料理する意欲が失せてしまっている.東北方面の水産従事者は大変であろうと思うが,この方面の魚介類は汚染が進んでしまうのではないかと危惧している.児玉君が提唱しているガンマカメラやCCDカメラを使ったベルトコンベアーによる食品検査システムの開発と加速化に国がいち早く取り組むことを願っている.
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