Japanese
English
症例報告
臨床像からライム病が強く疑われた1例
A case of highly suspicious,Lyme disease based on clinical aspects
大竹 映香
1
,
稲冨 徹
1
,
馬場 俊一
2
,
川端 寛樹
3
,
高野 愛
3
,
小笠原 由美子
3
,
安藤 秀二
3
,
照井 正
1
Eika OTKAKE
1
,
Toru INADOMI
1
,
Shunichi BABA
2
,
Hiroki KAWABATA
3
,
Ai TAKANO
3
,
Yumiko OGASAWARA
3
,
Shuji ANDO
3
,
Tadashi TERUI
1
1日本大学医学部皮膚科学系皮膚科学分野
2ばば皮ふ科医院
3国立感染症研究所
1Division of Dermatological Science,Department of Dermatology,Nihon University,Tokyo,Japan
2Baba-Hihuka Clinic,Tokyo,Japan
3National Institute of Infectious Diseases,Tokyo,Japan
キーワード:
ライム病
,
homogeneous erythema
,
IgM
,
IgG
,
塩酸ミノサイクリン
Keyword:
ライム病
,
homogeneous erythema
,
IgM
,
IgG
,
塩酸ミノサイクリン
pp.362-366
発行日 2012年4月1日
Published Date 2012/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103228
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要約 48歳,男性.海外旅行の添乗員.2010年5月ヨルダン,シリアに滞在し1週間ほど帰国した後グアムに滞在した.帰国後右大腿の紅斑に気づき,当科を受診した.右大腿外側に20×14cmの浸潤を触れる局面が存在し,その内部に14×12cmの熱感を伴う一様な紅斑と中央に少数の小水疱がみられた.病理組織像では境界部の強い浮腫と真皮全層から脂肪組織隔壁に及ぶ好酸球の著明な浸潤がみられた.塩酸ミノサイクリン200mg/日の内服が著効し,翌日から紅斑は改善,8日目に紅斑は完全に消退した.同剤を計28日間内服し,他臓器症状は出現しなかった.抗Borrelia抗体はIgMがELISA法で初診時,1週間後と陽性を示し,3週間後陰性化した.しかし,IgGはELISA法・ウェスタンブロット法いずれも陰性であった.マダニ刺咬や滞在地のライム病流行が明らかでなく,IgG抗体が上昇しなかったため典型例とは異なるが,紅斑は遊走性紅斑のhomogenous erythemaに相当すると考えた.ライム病の多彩な皮疹を認識することが重要である.
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