Japanese
English
症例報告
肝硬変に合併した壊死性遊走性紅斑の1例
A case of necrolytic migratory erythema associated with liver cirrhosis
笠井 弘子
1
,
濱野 英明
1
,
木花 光
1
,
高橋 さなみ
2
Hiroko KASAI
1
,
Hideaki HAMANO
1
,
Akira KONOHANA
1
,
Sanami TAKAHASHI
2
1済生会横浜市南部病院皮膚科
2ひぎりやま皮ふ科
1Department of Dermatology,Saiseikai Yokohama-shi Nanbu Hospital,Yokohama,Japan
2Higiriyama Clinic of Dermatology,Yokohama,Japan
キーワード:
壊死性遊走性紅斑
,
肝硬変
,
亜鉛
,
necrolytic acral erythema
,
グルカゴノーマ
Keyword:
壊死性遊走性紅斑
,
肝硬変
,
亜鉛
,
necrolytic acral erythema
,
グルカゴノーマ
pp.577-580
発行日 2011年7月1日
Published Date 2011/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412102993
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要約 80歳,女性.C型慢性肝炎による肝硬変の既往がある.約1か月の経過で,下肢に掻痒を伴い,遠心性に拡大する,境界明瞭な紅斑が多発した.辺縁の一部はびらん化していた.組織所見は,錯角化,角層下の裂隙形成,表皮の壊死であった.画像検査でグルカゴノーマを疑う所見はなかった.低アルブミン血症,血清亜鉛低値を認めるが,血漿アミノ酸分析は異常なかった.肝硬変に合併した壊死性遊走性紅斑(necrolytic migratory erythema:NME)と診断した.NMEはグルカゴノーマのデルマドロームとして報告された疾患である.本例にみられた肝硬変のほか,吸収不良症候群,慢性膵炎などによる,グルカゴノーマを伴わないNMEの報告がなされており,現在はアミノ酸,亜鉛,必須脂肪酸などの複合的な栄養障害と考えられている.自験例でもアミノ酸,亜鉛製剤の投与で皮疹は色素沈着を残し,急速に軽快した.
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