Japanese
English
症例報告
再発性肝細胞癌に対し,内胸動脈にて経カテーテル動脈塞栓術を行った後に生じた皮膚壊死の1例
A case of skin necrosis resulting from transcatheter arteral embolization(TAE)through the internal thoracic artery for the recurrent hepatocellular carcinoma
中村 善雄
1
,
田村 舞
1
,
高江 雄二郎
1
,
石井 健
1
,
大山 学
1
,
谷川 瑛子
1
,
海老原 全
1
Yoshio NAKAMURA
1
,
Mai TAMURA
1
,
Yujiro TAKAE
1
,
Ken ISHII
1
,
Manabu OHYAMA
1
,
Akiko TANIKAWA
1
,
Tamotsu EBIHARA
1
1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology,Keio University School of Medicine,Tokyo,Japan
キーワード:
皮膚壊死
,
経カテーテル動脈塞栓療法
,
肝細胞癌
,
合併症
Keyword:
皮膚壊死
,
経カテーテル動脈塞栓療法
,
肝細胞癌
,
合併症
pp.265-268
発行日 2011年3月1日
Published Date 2011/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412102844
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要約 74歳,男性.肝細胞癌に対する5回目の肝動脈および内胸動脈へ経カテーテル動脈塞栓術(TAE)施行後の翌日より右季肋部に紅斑が出現し,次第に境界明瞭な壊死局面を形成した.再発性の肝細胞癌であり,肝動脈へのTAEが繰り返されたため,固有肝動脈からの栄養血管がほぼ途絶し,内胸動脈からの側副血行路が発達していた.そのため5回目のTAEでは内胸動脈からも塞栓物質を注入したことにより,内胸動脈分枝である筋横隔動脈や上腹壁動脈の支配する表在血管が途絶し,皮膚壊死をきたしたものと考えた.通常の肝動脈を用いたTAEによる皮膚壊死の報告は極めて稀であるが,肝細胞癌の治療においてTAEの役割は大きくなっており,今後同様の症例の増加が考えられ,特に注入方法によっては注意すべき合併症と思われた.
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