Japanese
English
症例報告
手術瘢痕部位に初発した落葉状天疱瘡の1例
A case of pemphigus foliaceus initially occurring on surgical scars
綿貫(工藤) 沙織
1
,
石橋 正史
1
,
山本 享子
1
,
久保 亮治
2
,
陳 科榮
1
Saori WATANUKI(KUDO)
1
,
Masafumi ISHIBASHI
1
,
Kyoko YAMAMOTO
1
,
Akiharu KUBO
2
,
Ko-Ron CHEN
1
1東京都済生会中央病院皮膚科
2慶應義塾大学医学部皮膚科学教室
1Division of Dermatology,Tokyo-to Saiseikai Central Hospital,Tokyo,Japan
2Department of Dermatology,Keio University School of Medicine,Tokyo,Japan
キーワード:
落葉状天疱瘡
,
手術瘢痕
Keyword:
落葉状天疱瘡
,
手術瘢痕
pp.835-839
発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412102723
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
要約 74歳,男性.2000年から2004年に胆囊摘出術などの腹部手術を4回受けた.2007年に手術瘢痕部位の一部に痂皮を付す紅斑・びらんが出現し,創部感染の疑いで抗菌剤を外用したが改善しなかった.2008年,初診時,腹部の複数の手術瘢痕上に痂皮を付す紅斑があり,病理組織学的検査では表皮上層での水疱形成と棘融解,真皮乳頭層に形質細胞の浸潤を認めた.蛍光抗体直接法で表皮細胞間にIgGとC3が沈着,ELISA法で抗デスモグレイン1抗体が軽度上昇していた.約1か月後には抗デスモグレイン1抗体価の上昇とともに,上背部や頭部・顔面にも同様の皮疹が出現した.以上より手術瘢痕部に初発した落葉状天疱瘡と診断し,ステロイド外用とジアフェニルスルホン内服で加療した.手術瘢痕に沿い天疱瘡の皮疹が初発した報告は稀にあり,自験例を含めて検討した.手術瘢痕部に限局して生じる皮疹であっても,皮疹が難治性である場合,天疱瘡の可能性を考え鑑別のために皮膚生検を行う必要がある.
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.