書評
―編:松村真司,箕輪良行―コミュニケーションスキル・トレーニング―患者満足度の向上と効果的な診療のために
有賀 徹
1
1昭和大学・医学部救急医学
pp.929
発行日 2008年11月1日
Published Date 2008/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412102150
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このたび松村,箕輪両氏の編集による『コミュニケーションスキル・トレーニング─患者満足度の向上と効果的な診療のために』が出版された.その帯には「ベテラン医師を対象とした云々」とある.患者面接などに関する実践的な手法については,最近の医学部での教育や臨床研修医の採用において用いられていて,自らもおおよそのことを知ってはいたが,「ベテラン医師」から見ても確かに一読するとうなずくところが多々ある.
さて,日本語はもともと敬語が発達していて,対話する相手との距離などを測りながらそれを巧みに使うことになっていて,そこにこそ言わば教養のなせる技がある.したがって,医師はこの面でも研鑽すべきだろうと自らは漠然と考えていた.本書にはさすがにそのような言及はないが,それよりもっと基本的な面接などに関する体系的な仕組みについて解説されている.コミュニケーションスキル・トレーニングなどという教育が微塵もなかったわれわれでも,本書にある標準的な仕組みを頭に入れて医療を展開するなら,内科診断学やSings & Symptomsの基本である患者情報をまずは効果的に得ることに役立つ.引き続く治療についても患者に大いにその気になってもらううえで,この体系的な仕組みを実践する意義は大いにあると言うべきであろう.
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