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会頭として第107回日本皮膚科学会総会(京都)を開催させていただきました.新しい総会になり5年目でしたが,今回から日本研究皮膚科学会が別開催となり,3日間の単独開催になりました.参加者がどれほどになるかと不安でしたが,結果は4,000名を超え,一般演題も381題と多数をいただき,とても盛会になりました.現総会が教育講演コースを主体とする皮膚科医の教育学会として十分に認識され,また,その意義が定着してきたと感じます.懇親会では,新潟コシヒカリのおにぎりと村上牛ステーキがとても好評で,約2,000人分が売切れになり,新潟の各種の銘酒を揃えましたところ約100本(一升瓶)を飲んでいただきました.舞妓さんの踊りも素晴らしく,学会にこんな楽しみも大切だと思います.ところで,「教育」については,40の教育講演コースを設けましたが,それぞれのコースでまとまった密度の高い講演を聴くことができたと,多くの参加者からコメントを頂戴しました.各座長の巧みなオーガナイズと演者の方々の力の入ったご講演の賜物と思っております.さて今回,教育講演コースでは,聴講者に“One Minute Card”をコース開始時に配り,終了時に記入,提出してもらうという試みをしました.内容は,コースのアンケート5問と,コースによっては講演に関連した設問をさらに5問出題していただき,マークするものです.これは私が考案したもので,他の学会では例を見ないものですが,「教育」という意味ではとても重要なものと考えます.つまり,設問を出すと,一見試験をしているようですが,もし聴衆の多くが不正解であれば,設問が難解か,または講演内容が問題かもしれません.つまり,アンケートとともに学会への強烈なフィードバックになります.聴講の証明にもなり,一石二鳥です.教育では,学習者は目標に到達するために教育者の支援を受けて学習し,到達したか否かの評価を受けますが,評価は学習者の到達度判定のみでなく,目標,学習方略,教育者の支援などの妥当性の判断にも大切です.評価のない「教育」はありえず,進歩もないでしょう.現在,集計しているところで,まとまり次第,総会のHPで公表する予定です.われわれの皮膚科専門医制度は最先端だと自負してもよいでしょう.
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