特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科における手術の危険度
口腔咽頭
30.口内法による唾石手術のリスクマネージメント
暁 清文
1
1愛媛大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.141-144
発行日 2002年4月30日
Published Date 2002/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902548
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はじめに
唾石症は唾液腺やその導管内に結石が生じ,有痛性あるいは無痛性の唾液腺腫脹をきたす疾患であり,典型例では食事ごとに疝痛と唾液腺腫脹を繰り返す。しばしば感染を伴い開口部からの膿排出をきたす。本症の80〜90%は解剖学的構造や唾液粘度の関係から顎下腺に生じ(図1,2),舌下腺や耳下腺に生ずる例は少ない。一般に結石の存在部位により,管内唾石,移行部唾石,腺内唾石に分類されるが,結石は必ずしも1つとは限らず,多数の結石が腺体や導管の様々な部位に生じている場合もある。
治療は唾石の存在部位や大きさ,個数,臨床症状により異なる。開口部付近の小さな管内唾石は指で押し出すことにより,あるいは鑷子を用いることにより摘出可能な場合があるので,まず試みる。これらが不可能な場合は観血的に摘出する。感染を伴っているときは抗菌剤を投与して消炎を図り,炎症が落ち着いてから手術を行う。導管からの排膿を認めても唾石周囲の炎症1がひどくなければ手術を行っても差し支えない。
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