増刊号 こんなときの対応法がわかる 耳鼻咽喉科手術ガイド
Ⅲ.口腔咽頭・唾液腺の手術
唾石に対する手術
松延 毅
1
1医療法人社団誠馨会新東京病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科
pp.121-126
発行日 2015年4月30日
Published Date 2015/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200596
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
唾石症は耳鼻咽喉科医が日常臨床で遭遇する機会の多い疾患である。唾石は管内の異物,脱落上皮,細菌構成などが核となり,主としてリン酸カルシウム,シュウ酸カルシウムあるいは炭酸カルシウムが沈着して形成される。その9割以上は顎下腺にみられ,稀に耳下腺にできるといわれている。最新の欧米の報告では耳下腺唾石の割合はもっと高く,30〜40%に上るとされる。唾石は唾液の流出を妨げ,唾液疝痛と呼ばれる食事時の疼痛や腫脹などを引き起こすため,これらの症状が反復する場合,治療の対象となる。
従来より顎下腺唾石,特に移行部唾石については頸部外切開による顎下腺摘出となるケースもみられるが,頸部に瘢痕を残しうることや顔面神経下顎縁枝の麻痺などの後遺症が問題となりうる。また,舌神経損傷による舌の感覚障害,舌下神経損傷による舌運動麻痺,顔面動・静脈損傷による出血・血腫形成などが起こりうる。
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.