増刊号 画像診断パーフェクトガイド―読影のポイントとピットフォール
部位別診断法
Ⅲ.口腔・咽頭・唾液腺
pick upミニレクチャー
唾石症
松延 毅
1,2
1防衛医科大学校耳鼻咽喉科学講座
2医療法人社団誠馨会新東京病院耳鼻咽喉科
pp.220-222
発行日 2014年4月30日
Published Date 2014/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102837
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画像診断の狙い
唾石症(sialolitiasa)は,日常比較的遭遇することの多い疾患で,特に顎下腺の慢性炎症の最も多い原因である。唾石は脱落した上皮,管内に迷入した異物,細菌などが核となって,周囲にリン酸カルシウム,炭酸カルシウムなどが同心円状に層構造を呈して沈着し形成される。一般に唾石が形成された唾液腺の種類により,大唾液腺唾石,小唾液腺唾石に大別される。その頻度は顎下腺が98%,耳下腺が1.8%,舌下腺が1.2%,小唾液腺が0.4%と顎下腺が圧倒的に多い1)。顎下腺に多い理由としては,顎下腺唾液の性状が高ムチン成分,高pH(アルカリ性),高有機物質,石灰・リン酸塩の濃縮,低二酸化炭素,高リン酸酵素であり,解剖学的に顎下腺管(ワルトン管)の長く不規則な走行,重力依存部に位置する顎下腺・管,腺管開口部の位置や腺管よりも小さい径などが挙げられる。また唾石の存在部位と頻度については,腺管内(55%),移行部(30%),腺体内(15%)と腺管内の頻度が高い。
小唾液腺結石は頰粘膜,上口唇に多く,口蓋,歯槽粘膜,下口唇には少ない。大きさは長径10mm前後が多く,数は1個が大多数を占める。20~40歳代に好発し,男女比は2:1とされてきたが,最近はあまり差を認めなくなってきている。腺管を閉塞する大きさになると摂食時に唾疝痛(salivary colic)と呼ばれる疼痛をきたす。また,二次性急性・慢性唾液腺炎が長期にわたると唾液腺の萎縮をきたす。
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