トピックス 耳鼻咽喉科・頭頸部外科と遺伝子解析
3.難聴と遺伝子
福島 邦博
1
,
西﨑 和則
1
1岡山大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.353-356
発行日 2001年5月20日
Published Date 2001/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902365
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はじめに
ヒトの難聴の原因となる遺伝子についての研究は1992年,常染色体優性遺伝家系からの解析によるDFNA 1の発見が嚆矢となり,positional clon-ingのアプローチが盛んに行われるようになった。これとほぼ並行する形で,難聴モデルマウスを用いた遺伝子同定のアプローチが,ヒトでの難聴遺伝子を同定するための強力なツールとしてこの研究を大きく進展させ,さらにいくつかの分野では内耳のcDNAライブラリーがこの研究を前進させてきた。こうした努力の結果として,現在までに非症候群性難聴では70を超える遺伝子座が報告されており,その一部は既にクローニングされてきた。こうした研究成果は,いくつかの遺伝子の機能解析を経て,聴覚と感音性難聴に関する新しい視点をもたらし始めている。
本稿では,主として非症候群性難聴に関連する遺伝子の中で,クローニングされているものに関してその機能面を中心に概説し,遺伝子解析がもたらした難聴に関する新しい概念を紹介していく。なお,個々の遺伝子の詳細や遺伝子異常については遺伝性難聴homepage1,2)に掲載しているので,こちらを参考にされたい。
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