トピックス 結核と耳鼻咽喉科
3.結核症例の特徴—最近の報告 (1)耳,鼻・副鼻腔,咽喉頭
大谷 真喜子
1
,
山下 敏夫
2
1大道会大道病院耳鼻咽喉科
2関西医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.177-183
発行日 2000年3月20日
Published Date 2000/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902120
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はじめに
結核は抗結核療法の発達,結核対策の推進,生活水準の向上などに伴い,近年は比較的少ない疾患となっている。しかし,結核は2日以内に届け出の必要な感染性の疾患であり1),また抗結核療法により治療可能な疾患である。そのため確定診断をつけることが非常に重要であり,現在でも重要な疾患の1つであることに変わりはない。最近の傾向として,肺結核の減少とともに続発性の結核は減少し,反対に稀であった肺結核を認めない原発性の結核が増えてきている。しかし,厳密な意味での原発を証明することは,全身の組織学的検索ができない限り不可能であり,その診断は難しい。また,各地で集団感染の報告が相次ぎ,1998年7月には厚生省が緊急提言を出すなど再興感染症として注目されている。耳鼻咽喉科領域においても,結核性中耳炎,喉頭結核,頸部リンパ節結核など結核性疾患の報告が散見される。
本稿では耳,鼻・副鼻腔,咽喉頭における結核症例について1990年以降に報告された症例に検討を加えて報告する。
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