トピックス 結核と耳鼻咽喉科
3.結核症例の特徴—最近の報告 (2)頸部リンパ節結核
中原 はるか
1
,
滋賀 秀壮
2
,
市村 恵一
3
1東京大学医学部附属病院分院耳鼻咽喉科
2虎の門病院耳鼻咽喉科
3自治医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.184-188
発行日 2000年3月20日
Published Date 2000/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902121
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はじめに
Cantrellら1)によれば,結核症のうち17%が胸部以外のリンパ節結核であり,またその69%が頸部であるという。日本では1997年に38年ぶりに結核感染が増加し2),1998年にはさらに前年より3%増加したと報告された。これに伴い,頸部リンパ節結核も増加してきていると考えられる。一方で頸部に腫脹をきたす疾患は数多くあり,鑑別診断には慎重でなければならない。PCR法などの診断技術の進歩に伴い結核の診断も容易になったように思われるが,実際にはリンパ節結核の場合,塗抹検査に比べて精度,感度は決して高いとはいえず,古典的にリンパ節摘出が確定診断となる場合も依然としてある。
最近経験した頸部リンパ節結核5症例について,診断に至るまでの経緯を中心として最近の症例での傾向,特徴などを考察する。
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