目でみる耳鼻咽喉科
小児耳下腺悪性腫瘍の2症例
坂本 菜穂子
1
,
茂木 五郎
1
1大分医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.6-7
発行日 1997年1月20日
Published Date 1997/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901513
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小児の頭頸部悪性腫瘍は,悪性リンパ腫などの非上皮性腫瘍が多く,上皮性悪性腫瘍の頻度は低い。唾液腺腫瘍においては,上皮性腫瘍のうち,小児症例は全体の10%以下であるが,小児唾液腺腫瘍の50〜60%は悪性といわれており,まれな疾患でありながら注意が必要である。今回われわれが経験した小児耳下腺悪性腫瘍2症例を示す。治療法は手術治療が第一であり,顔面神経に腫瘍が浸潤していない限り神経は温存し,切断した場合も,積極的に神経吻合を行うべきである。放射線治療や化学療法は,若年者では急性障害のほかに,顔面発育不全,下垂体障害,放射線誘発癌,性腺機能の発達障害などの晩発性の後遺症が問題となるため,治療のみならず後遺症に対する対応を含めた,長期にわたる経過観察と集学的治療を行う必要があると考える。
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