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はじめに
聴神経腫瘍の患者は,蝸牛または前庭症状で発症することが多く,したがって耳鼻科医を初診するケースがほとんどである。この意味で早期発見は耳鼻科医に委ねられているわけであるが,実際は非典型的な経過を示し診断の難しい例もときどきある。一方,最近のMRI導入による画像診断の飛躍的な進歩により,内耳道内に限局した小腫瘍でも正確に診断ができるようになってきており,いきおい聴力障害の軽微な小腫瘍の発見例も増えてきている。聴神経腫瘍の治療における最終目標は,腫瘍の全摘出と顔面神経および聴力の機能保存であるが,この目標に向かって,手術方法1,2),γ線療法3,4),術中モニタリング4),聴力保存の可否の基準などについて検討されている5)。聴力保存の対象症例は純音聴力50dB以下,語音明瞭度50%以上である5,6)ことが1つの目安とされるが,この基準では保存の適応にならない聴神経腫瘍例に対して中頭蓋窩法で摘出したところ,術後著明に聴力の改善した症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する。
A 61year-old-female presented with a history of sudden hearing loss of one year's duration. A tumor mainly located within the internal auditory meatus was found by MRI. Her preoperative pure tone audiogram and speech discrimination score were 74 dB and 5%, respectively. Post-operatively these were improved to 43 dB and 55% respectively. This case raises a question against the so-called 50-50 rule as the preoperative criteria for hearing preser-vation of acoustic neuroma surgery.
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