トピックス 嗅覚障害
嗅覚障害の診断—針状硬性鏡による嗅粘膜検査
浅賀 英世
1
1昭和大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.727-730
発行日 1990年9月20日
Published Date 1990/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900124
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はじめに
嗅覚障害の原因となった疾患は表1に示す通りである。表の左側は文献にみられる嗅覚障害の原因であり,右側はわれわれの嗅覚外来に実際に来院した患者の統計である。鼻葺,慢性鼻炎,慢性副鼻腔炎,鼻アレルギーなどの鼻疾患が原因となったものが86%と多大数を占めている,これに比べ欧米の文献にしばしばみられる,頭蓋内腫瘍,頭蓋内手術後は0.6%,Kallman syndromeなど遺伝性の疾患によるものの来院はこの統計上ではみられていない,また血清亜鉛の低下が原因と考えられる特発性味覚・嗅覚障害と確定できた症例もなかった。
欧米の文献ではあまり問題としていない鼻疾患を原因とする嗅覚障害が圧倒的に多いのは,欧米に比べ鼻疾患患者の多いわが国としては当然の結果と考える。またこのことにより嗅覚障害患者の発生率も欧米に比べ高いものと考えている。
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