トピックス 嗅覚障害
頭蓋内性嗅覚障害鑑別のための検査
上出 文博
1
1金沢大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.731-734
発行日 1990年9月20日
Published Date 1990/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900125
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はじめに
頭部外傷や脳血管障害にともなう頭蓋内性嗅覚障害は増加しつつある。とくに交通外傷や労働災害による嗅覚障害は,補償の対象となることから,頭蓋内性嗅覚障害に対する検査は重要になってきている。金沢大学医学部耳鼻咽喉科嗅覚外来の受診者をみても,16%が頭蓋内性嗅覚障害であるが(表1),嗅覚障害に対しては他の脳神経障害のようには十分な考慮が払われていないのが実状であり,嗅覚障害の合併にもかかわらず,積極的に嗅覚検査が実施されていないように思われる。
さらに,嗅覚障害は鼻腔内の障害のみならず,頭蓋内疾患を示唆する一つの重大な症状のことがあるにもかかわらず,末梢性嗅覚障害との鑑別法は,聴覚や平衡覚のように確立されていない。そこで,頭蓋内性嗅覚障害の診断に統一された基準の検査法の普遍化が望まれることから,頭蓋内性嗅覚障害に対する検査の進め方について述べる。
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