トピックス 嗅覚障害
嗅覚機能検査—基準嗅力検査と静脈性嗅覚検査
調所 廣之
1
1関東労災病院耳鼻咽喉科
pp.719-725
発行日 1990年9月20日
Published Date 1990/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900123
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はじめに
嗅覚障害の発生原因には表1に示すごとく種々のものがある。しかし,実際にわれわれの外来を訪れた嗅覚障害335例の原因疾患では,鼻副鼻腔疾患の占める比率は65.1%,その内,慢性副鼻腔炎の占める比率は158例(47.2%)である。労災病院では,病院の特殊性から外傷によるものの比率が高いが,鼻疾患特に慢性副鼻腔炎が原因疾患として一番多くを占めている。これはわが国の嗅覚障害の特徴といえる。嗅覚障害の原因には,鼻腔形態異常(鼻茸,肥厚性鼻炎,高度の鼻中隔彎曲症,外傷等)により,嗅素を含んだ空気が嗅裂部の嗅上皮に到達されずに起こる「呼吸性嗅覚障害」,あるいは鼻腔の炎症(慢性副鼻腔炎などによる嗅裂部の炎症)による「嗅上皮性嗅覚障害」が最も多い。従って嗅覚異常を訴える患者が来院したら,まず原疾患について精査することが重要で,嗅覚検査を実施する前に一般的な鼻科学的検査を十分に行う必要がある。
一方嗅覚検査には,形態的検査と機能検査があり,形態的検査には嗅裂部X線検査と内視鏡検査があり,機能検査として基準嗅力検査と静脈性嗅覚検査がある。
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