カラーグラフ
解離性大動脈瘤
初音 嘉一郎
1
1東京女子医大心研
pp.518-519
発行日 1970年5月10日
Published Date 1970/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203067
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血管外科手技の飛躍的進歩と,心臓血管造影法などの診断技術の向上とによって,解離性大動脈瘤はもはや望みのない疾患ではなく,手術により治癒しうる外科的疾患となってきた.一般臨床医により経験されることも少なくないので,その実態の理解を図るためにそのX線写真と病理所見を対照してここに図示する.
解離性大動脈瘤は,動脈壁中層の脆弱化と内皮の破裂とにより血液が大動脈内腔より動脈壁内に流人し,これをたて裂きにするため動脈瘤の形態をとるが,内腔はかえって狭小化し,その破裂出血および大動脈ならびにその主要分枝の血流障害により胸痛,ショック状態を惹起する重篤な疾患である.通常激烈なる胸痛とショック症状を呈するため心筋硬塞,狭心症、急性腹症と誤診されやすいが,詳細な発症状態の把握と綿密な身体検査によりその可能性が疑われるならば早期のX線撮影を行ない,大動脈の異常膨大,心陰影の拡大などが認められる場合はただちに心臓血管造影を行なうべきで,大動脈の二重造影がある時は診断が確定される.
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