増刊号 臨床力UP! 耳鼻咽喉科検査マニュアル
Ⅳ 鼻・副鼻腔の検査
2 鼻腔通気度検査
竹内 裕美
1
1鳥取大学医学部感覚運動医学講座耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野
pp.207-212
発行日 2017年4月30日
Published Date 2017/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411201261
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●目的
・鼻腔抵抗または鼻腔気流量を指標とした鼻腔通気性の客観的評価
●対象
①鼻閉を訴える症例
患者が訴える鼻閉は,鼻閉感であり,鼻腔通気性とは必ずしも一致しない1)。多くの場合,鼻副鼻腔疾患や鼻中隔彎曲などの解剖学的異常により鼻腔通気性が低下して鼻閉感を生じるが,萎縮性鼻炎やempty nose syndromeのように,鼻腔通気性は良好に保たれているにもかかわらず鼻閉感を訴えることがある。鼻閉感を訴える患者を診るときは,まず鼻腔通気性の低下を伴っているかどうかを評価しなければならない。
②鼻閉が疑われる小児
小児は,自身の鼻の通り具合を言葉で適切に表現できないことが多いため,鼻腔通気性を客観的な数値で表現できる本検査は有用である。近いうちに,小学生の鼻腔抵抗の基準値が日本鼻科学会から示される予定であり,基準値と比較することで診断が容易になることが期待できる。
③鼻腔のスクリーニング検査が必要な症例
閉塞性睡眠時無呼吸症候群などの鼻腔通気性の評価が不可欠な疾患では,耳鼻咽喉科医以外の医師が行う鼻腔のスクリーニング検査の1つとして本検査が使用されている。鼻腔通気性の低下が疑われた場合には,耳鼻咽喉科医に依頼して精査を行うことになる。
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