特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の検査マニュアル―方法・結果とその解釈
Ⅳ.鼻・副鼻腔の検査
2.鼻腔通気度検査(anterior法,posterior法)
内藤 健晴
1
1藤田保健衛生大学医学部耳鼻咽喉科
pp.161-165
発行日 2010年4月30日
Published Date 2010/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101606
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Ⅰ はじめに
鼻腔通気度検査は鼻呼吸の通気程度を客観的に示せる機能検査の1つで,しかも簡便で侵襲も少ない。鼻科領域で保険適応となっている機能検査は嗅覚検査と本検査の2つしかなく,鼻腔通気度検査は鼻科領域での数少ない機能検査法の1つである。このように貴重で有用な鼻腔通気度検査法をわれわれが臨床の場で役に立てないのはもったいないことである。特に最近では手術適応の判定として用いるだけでなく1),鼻閉から来る睡眠障害の診断治療の問題からも鼻腔通気度検査は重要な評価機器となっているので2),その点も後ほど触れることにする。
鼻腔通気度計の原理は,鼻腔を通過する空気の流速と気圧差を同時測定し,流体力学の法則に則り気圧差を流速で割ると抵抗が算出されることによる3,4)。このときに圧差を鼻の後方(上咽頭や中咽頭)から導出する方法をposterior法,反対側の前鼻孔から導出する方法をanterior法と呼ぶ。論理的にはposterior法が優れ,両側鼻腔抵抗も実測できる利点があるが,圧導出が難しく測定できない場合が少なくない5)。一方,anterior法は片側ずつしか測定できないが測定がきわめて容易で測定不可となることがほとんどないという利点がある。そうしたことから国内外でanterior法が標準法として推奨されている6,7)。
通気度計の機械はあっても鼻腔通気度検査法はどうも小難しく何となく敬遠してきたという臨床経験豊富な先生方にも,また,これから新たに勉強して使いたいという若い先生方にも簡単に使えるようになってもらえることを目的に解説していきたい。
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