- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.検査法の原理
鼻腔通気度検査(rhinomanometry)は呼気,吸気の際の鼻腔の通気性を調べる検査法である。その指標として,鼻腔抵抗(nasal resistance)の測定が行われる。鼻腔抵抗(R)は,鼻腔を空気が流れる際に生じる鼻腔の前方と後方間の圧力差(P)を,その時の流量(V)で割った値である(R=P/V)。鼻腔内を流れる気流は,層流だけではなく乱流も生ずるので,圧力-流量関係は直線性を示さず,S字状のカーブを示す(図1)。
現在,流量はcm3/secで表し圧力はPaで表示する。したがって,鼻腔抵抗の単位はPa/cm3/secで示される。以前は,流量をL/sec,圧力をcmH2O,したがって,鼻腔抵抗をcmH20/L/secで表していたが,JIS規格の設定に伴って,前記の表記法に改められた。しかし,100Pa≒1cmH2Oなので,過去のデータを換算して,現在の表記法で表すことは比較的容易に行える。すなわち,鼻腔抵抗3.0cmH20/L/secはほぼO.3Pa/cm3/secに等しくなる。臨床検査法として用いられている鼻腔通気度検査は,大きく2つに分けられる。1つは前力誘導法(anterior rhinomanometry,アンテリオール法)であり,もう1つは後方誘導法である(posterior rhinomanometry,ポステリオール法)。前方誘導法はさらに,ノズル法とマスク法に分けられる。
前方誘導法と後方誘導法が鼻腔通気度を調べる臨床検査として一般に使われており,すでに測定装置については,JIS規格により,その標準化がなされている。国際的な標準化については,現在,鼻腔通気度国際標準化委員会(会長:PARClement教授,ベルギー)において進行中である。
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.