増刊号 こんなときの対応法がわかる 耳鼻咽喉科手術ガイド
Ⅳ.喉頭・下咽頭の手術
早期声門癌:喉頭微細手術
室野 重之
1
,
吉崎 智一
1
1金沢大学医薬保健研究域医学系耳鼻咽喉科・頭頸部外科
pp.210-214
発行日 2015年4月30日
Published Date 2015/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200615
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はじめに
早期声門癌に対する治療には放射線治療と手術があり,治療成績は同等であるといわれている。しかし,あとに発症する可能性のある異時性重複頭頸部癌に対する治療選択肢を狭めないという点も考慮し,われわれは積極的に経口的手術を施行している。本稿では,早期声門癌に対してわれわれが行っている経口的レーザー声帯切除術(transoral laser microsurgery:TLM)について紹介する。
本文に先立ち,声帯切除術の術式は,切除範囲により9つの型(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴa・Ⅴb・Ⅴc・Ⅴd・Ⅵ)に分けるEuropean Laryngological Society(ELS)による分類が一般的である1,2)が,われわれが早期声門癌に対して通常行うものは,Ⅰ型(subepithelial cordectomy),Ⅱ型(subligamental cordectomy),Ⅲ型(transmuscular cordectomy)であることを知っておきたい3)。コンセプトは,レーザーによる蒸散ではなく切除であり,また,放射線治療を前提とした減量ではなく手術単独での完全切除を目ざすものである3〜5)。
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