増刊号 こんなときの対応法がわかる 耳鼻咽喉科手術ガイド
Ⅳ.喉頭・下咽頭の手術
声門上癌:経口的咽喉頭部分切除術
荒木 幸仁
1
,
冨藤 雅之
1
,
塩谷 彰浩
1
1防衛医科大学校耳鼻咽喉科学講座
pp.215-221
発行日 2015年4月30日
Published Date 2015/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200616
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
症例呈示
64歳,女性(図1〜3)。声門上癌(喉頭蓋喉頭面原発,T2N0M0)に対し,他院にて化学放射線療法施行(60Gy,TS-1併用)。1年後,同部位に再発を認め,喉頭温存の希望が強く当院へ紹介され受診となった。喉頭内視鏡にて喉頭蓋喉頭面に再発病変(図1a)を認めた。声門への進展はなく,声帯運動は両側正常,CTにて甲状軟骨,舌骨への明らかな浸潤は認めなかった(図1b,c)。頸部リンパ節転移も認めず,声門上癌rT2N0M0と診断した。
外切開部分切除術などの選択肢も呈示したうえで,患者の同意を得て経口的咽喉頭部分切除術(transoral videolaryngoscopic surgery:TOVS)を施行した。喉頭蓋全摘を主体に右披裂喉頭蓋ヒダまで切除を行った(図2)。気管切開は行わず,術後5日目に嚥下造影を行い(図3b),経口摂取を再開,9日目には全粥摂取可能となった。創傷治癒は放射線照射の影響で遷延したが,術後半年程度で上皮化した(図3c)。追加治療は行わずに,現在(術後5年4か月)まで再発・転移などなく経過観察中である。
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.