増刊号 こんなときの対応法がわかる 耳鼻咽喉科手術ガイド
Ⅳ.喉頭・下咽頭の手術
下咽頭梨状陥凹瘻に対する手術
大月 直樹
1
,
丹生 健一
1
1神戸大学大学院医学研究科外科系講座耳鼻咽喉科頭頸部外科学分野
pp.206-209
発行日 2015年4月30日
Published Date 2015/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200614
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症例呈示
症例:5歳,男児
現病歴:4日前から頸部痛,2日前から左頸部腫脹が出現したため,前医を受診した。CTで頸部膿瘍を疑われ,同日,当院へ紹介となった。入院のうえ,絶食および抗菌薬投与で経過をみていたが,翌日頸部腫脹が悪化したため全身麻酔下に頸部膿瘍開放術を施行した。臨床的に梨状陥凹瘻の感染が疑われたが,炎症による出血,癒着が強く瘻管の同定は困難で膿瘍の開放にとどめた。術後抗菌薬の投与により炎症は改善したため,第8病日に退院となった。1か月後に下咽頭食道透視検査およびCT(図1)を行い,左下咽頭梨状陥凹瘻と診断した。3か月後に喉頭鏡下に梨状陥凹瘻の確認および硝酸銀による化学焼灼術を施行した。合併症なく経過し術後4日目に退院した。その後,外来経過観察していたが,再び左頸部腫脹をきたし,甲状腺左葉切除を含む頸部外切開による瘻管摘出術を目的として入院となった。
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