増刊号 こんなときの対応法がわかる 耳鼻咽喉科手術ガイド
Ⅲ.口腔咽頭・唾液腺の手術
耳下腺浅葉切除術
冨田 俊樹
1
1慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科
pp.127-130
発行日 2015年4月30日
Published Date 2015/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200597
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症例呈示
症例は72歳,女性。主訴は左耳下部腫瘤であった。約5年前から左耳下部の腫瘤に気付くも放置していた。徐々に増大したため近医を受診し,耳下腺腫瘍を疑われたため当科を紹介された。自発痛や圧痛は認めなかった。触診すると腫瘍は弾性硬で,辺縁は整,可動性はやや不良であった。
MRIでは左耳下腺にT1強調画像で低信号,T2強調画像で不均一な高信号を呈する,境界鮮明な腫瘤性病変を認めた(図1)。下顎後静脈は偏位していなかった。エコーでは左耳下腺内に境界明瞭な低エコー病変を認め,深部では部分的に高信号を呈した(図2)。穿刺吸引細胞診では多形腺腫が疑われた。
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