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Ⅰ.はじめに
国立病院機構東京医療センター(旧国立東京第2病院)院長を定年退職し,その後1997年,岐阜県関市に新設された中部学院大学学長に就任,すでに13年が経過したところです,今日まで何を考えてきたか,またこれからの問題についても少し述べてみたいと思います。
中部学院大学は90年の歴史をもつ岐阜済美学院(その中に短大,高校,幼稚園がある)に新しく福祉関係の4年制の大学(社会福祉士などの国家試験の受験資格がとれる)をということで,岐阜市から少し離れた環境の良い関市に開設されました(写真)。これまでと違って文系の新設大学なので,大学の運営,教育について教授会などでは少し手応えが違い,研究費も医学関係と違って少ないので,評議会,運営協議会を作り,また総合研究所を作ることにしました。その中に福祉情報センターを作り,福祉情報を具体的に検討することにより保健,医療,福祉が一体になった将来計画を立てることができるようにしました。これからの日本の福祉社会は誰がどこからみてもわかるようにしたいと考えたからであります。また人間福祉学と銘打って教育,研究に取り掛かりますが,4年後に第一回生を社会に送り出すときを機会に大学院修士課程,博士課程(後期)を創設しました。さらに研究の成果を発表できる『人間福祉学会』を開設し,昨年第10回の記念総会を開いたところです。
さて,私はこれまでわが国の医療の将来について,また耳鼻咽喉科の将来について,参考資料にあるように,個人的意見を投稿してきました。当時考えていた予測が果たしてどのような結果に今日なってきているかを検討する時期になってきたような気がして,ここでもう一度考えてみたいと思ったわけです。
不確定要素の多い今日の社会情勢,特に政権交代が短期間に行われているわが国の現状では,将来を予測することはきわめて困難な状況といわなければならないでしょう。しかし今後明らかに最重要な課題となる医療福祉に対して,将来を予測することは,きわめて重要なことかと思います。少なくとも現状の分析から,将来を予測しそれに対してどう対応するかを考えることは今日必要なことではないかと思います。
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