特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の検査マニュアル―方法・結果とその解釈
Ⅳ.鼻・副鼻腔の検査
3.鼻アレルギー検査
黒野 祐一
1
1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
pp.167-173
発行日 2010年4月30日
Published Date 2010/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101607
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Ⅰ はじめに
わが国におけるアレルギー性鼻炎の有病率が最近増加傾向にあり,すでにさまざまなメデイアで報じられている。例えば,馬場ら1)は,1998~2008年までの10年間に,通年性アレルギー性鼻炎が18.7%から23.4%,スギ花粉症が16.2%から26.5%,アレルギー性鼻炎全体では29.8%から39.8%へと著しく増加したと報告している。これは全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象としたアンケート調査によるもので,いくつかのバイアスがあることは否めないが,アレルギー性鼻炎そしてスギ花粉症患者の増加は日常臨床の中で確かに実感されるところである。
アレルギー性鼻炎は発作性かつ反復性のくしゃみ,水様性鼻汁,鼻閉を3大症状とし,アレルギーの専門医であればこれらの特徴的な症状について問診するだけでもある程度診断することは可能かもしれない。しかし,他に同様の症状を訴える鑑別すべき疾患も多く,確定診断にはいくつかの検査を行い,これを参考にする必要がある。その検査方法については,鼻アレルギー診療ガイドラインをはじめ数多くの著書に詳しく記載されている。
そこで,本稿ではこれらの著書のなかで最も新しくかつ日常臨床で広く活用されている鼻アレルギー診療ガイドライン2009年版(改訂第6版)2)に準じて,鼻アレルギーの検査方法と手順,そして,その結果を解釈するうえでの留意点についてまとめてみたい。
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