特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の検査マニュアル―方法・結果とその解釈
Ⅰ.聴覚検査
3.語音聴力検査
君付 隆
1
1九州大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科学分野
pp.21-28
発行日 2010年4月30日
Published Date 2010/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101586
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Ⅰ はじめに
語音とは,『言葉を構成する音声・言語音』のことであり,日常の音声コミュニケーションは語音を用いて行われている。そのため,語音を検査の素材として用いた語音聴力検査は,個人の会話能力を知るうえで重要な検査といえる。また,言葉の聴き分けは,中枢を含めた聴覚系における情報処理能力とかかわっているため,純音聴力検査と語音聴力検査を比較することにより,難聴の鑑別診断,特に後迷路性難聴や機能性難聴の鑑別に有用である。
わが国では,日本聴覚医学会の語音聴力検査法が普及しているため,本稿では日本聴覚医学会編集の語音聴力検査法1)で説明されている方法に基づいて記載する。語音聴力検査法も他の聴覚検査と同様,閾値検査と閾値上検査があり,下記の2種類がある。
(1)語音了解閾値検査(語音聴取閾値検査)―語音による閾値検査
(2)語音弁別検査(最高明瞭度検査)―閾値上検査で,語音をどれだけ正確に聴き分けられるかを検査
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