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特集 最近の頭頸部癌治療
3.超選択的動注と放射線
3.Super selective arterial infusion and radiation therapy
林 達哉
1
Tatsuya Hayashi
1
1旭川医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科
pp.449-456
発行日 2009年6月20日
Published Date 2009/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101450
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Ⅰ.はじめに
1992年,Robbinsら1)が発表した放射線併用超選択的動注化学療法(以下,超選択的動注療法と略す)は抗癌剤を必要とする頭頸部局所に対して高濃度の抗癌剤投与を可能にすると同時に(→高い奏効率),中心静脈でシスプラチン(CDDP)を中和することにより全身には低濃度の抗癌剤しか循環しない状態(→副作用軽減)とを同時に実現した。副作用のために思うように抗癌剤の投与量を上げることができなかったという過去のジレンマを理論的に解消しているという点と実際に高い奏効率を示す報告により,わが国においても急速な普及をみた。
現在,本治療に期待されるのは,これまで根治治療が困難であった切除不能癌の根治ばかりでなく喉頭に代表される重要臓器を温存した状態で癌を治癒させることである。
当科では1999年から手術不能の頭頸部進行癌症例に対して超選択的動注療法を導入し,CRから長期生存に至る症例を経験した。この成績を踏まえ2003年からは手術可能な頭頸部癌に対しても,臓器温存,機能温存を目指して適応を拡大している。
本稿では当科における治療の実際と成績を紹介し,本治療の現状と頭頸部癌治療全体のなかでの期待される役割について述べたい。
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