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特集 最近の頭頸部癌治療
2.頭頸部癌放射線化学療法
2.Head and neck cancer chemoradiotherapy
中島 寅彦
1
Torahiko Nakasima
1
1九州大学大学院医学研究院医学系学府耳鼻咽喉科学
pp.441-447
発行日 2009年6月20日
Published Date 2009/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101449
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Ⅰ.はじめに
癌の治療現場では治癒率,生存率の向上とともに治療後の臓器機能温存率の向上を目指すことが患者QOLの維持の観点から近年重視されてきている。扁平上皮癌が多い頭頸部癌に対する放射線化学療法が臓器温存率,生存率の向上に有効であり,それは放射線単独療法よりも勝る,とのエビデンスはすでに諸家の報告により確立している。1990年以降欧米においていくつかのmeta-analysis1,2)が行われ,その結果としてシスプラチン(CDDP)を含む化学療法との同時併用放射線療法が最も有効であり,さらに5-FUを併用したレジメンが有効であるとの報告が多い。最近ではドセタキセル(DOC)の併用も注目されている。しかしながら,有効なレジメンほど副作用も著明でありスタンダードなレジメンは確立されていない。併用抗癌剤の選択に当たっては,薬剤自体が強い抗腫瘍効果を有し,強い放射線増感作用があること,低い毒性をもつことが必要であり,さまざまな組み合わせにより臨床研究が行われている。頭頸部癌集学的治療における放射線化学療法の位置づけについても議論が多く,治療方針のなかで手術との振り分けをどのように行うかに関しても標準的な方針が決まっているとはいえない。
本稿ではまず,頭頸部癌に対する放射線化学療法の現況を概説し,九州大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科(以下,同科と略す)における放射線化学療法の位置づけ,方法について紹介する。さらに効果予測のための分子マーカーなど,頭頸部癌に対する放射線化学療法の将来展望について述べる。
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