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疾患の違いによる好酸球の形態的特徴
Morphological characteristics of eosinophils in different diseases
渡辺 建介
1
Kensuke Watanabe
1
1獨協医科大学越谷病院耳鼻咽喉科
pp.279-286
発行日 2008年4月20日
Published Date 2008/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101228
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Ⅰ はじめに
好酸球が主役を演ずると考えられる疾患はいくつかある。大きく分けるとアレルギー性疾患,寄生虫や真菌感染,そしてそのどちらにも属さず好酸球性炎症を引き起こす疾患群である。これらの異なった疾患群での好酸球の役割は異なっているのであろうか。それとも好酸球そのものは同じような働きをしているのであろうか興味のあるところである。
人類の歩んだ苦難の歴史を振り返ると,人類は外来生物との戦いの連続であったことは確かである。生物群はウイルスや細菌のような顕微鏡レベルの微小なものと,寄生虫や真菌のような大型の生物群に分けられるであろう。生体防御のために外来から侵入した有害な異物の貪食作用を好中球がもっていることは広く知られている。しかし,好酸球にも貪食作用があることは知られているが,主要な役割が好中球と同様であるとは思えない。好酸球は寄生虫や真菌のような大生物が侵入したときに増加することを考えれば,好中球と好酸球では侵入生物の大きさで役割分担がなされていたに違いない。問題はアレルギー局所に好酸球が集まる理由について抗原貪食の観点からは明確な答えが出せないことであろう。
そこで,各疾患で局所に集まる好酸球の形態学的特徴に差異があるのかを電子顕微鏡レベルで検討してみることにした。
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