コラム
鼻汁の好酸球検査
宿谷 賢一
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.1309
発行日 2005年10月15日
Published Date 2005/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100299
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鼻汁中の好酸球は,アレルギー性鼻炎の約9割の患者に認められ,古くから診断に用いられてきた.鼻汁中好酸球は減感作療法,局所用ステロイド剤などの抗アレルギー剤の投与により減少することから,薬剤の効果判定のパラメーターとして重要である.
鼻汁の採取は食品包装用ラップや薬包紙などの水分を吸収しないようなものを用いて鼻をかませる.鼻汁の数か所を採取し,綿棒などでスライドガラスの上に薄く引き伸ばすように塗抹する.染色方法として,一般的に血球染色であるライト・ギムザ染色,メイ・グリュンワルド・ギムザ染色,鼻汁中細胞染色法であるハンセル染色による鑑別で行われている.ベッドサイド検査として行うのであれば前者二つの染色法は不向きであり,後者のハンセル染色が有用である.しかしながら,いずれの染色方法においても塗抹標本作製の出来具合が重要であり,塗抹が厚すぎると細胞が萎縮し,濃染傾向があるために注意が必要である.
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