Japanese
English
特集 好酸球関連の病変
1.好酸球総論
1.The role of eosinophils in head and neck
黒野 祐一
1
Yuichi Kurono
1
1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
pp.653-659
発行日 2010年9月20日
Published Date 2010/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101677
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Ⅰ.はじめに
アレルギー性鼻炎の増加,好酸球性副鼻腔炎や好酸球性中耳炎という疾患概念の定着に伴って,耳鼻咽喉科領域でも好酸球がこれら疾患の原因あるいは難治性の要因として注目されるようになってきた。しかし,好酸球が発見された当初は,この細胞がヒスタミン中和酵素やロイコトリエン(LT)分解酵素を含有し,アレルギー反応の遅発相に誘導されることから,アレルギー性炎症を鎮静化する作用をもつと考えられていた。ところがその後,好酸球は強力な細胞障害作用をもつ種々の顆粒蛋白や炎症を惹起する化学伝達物質などを放出することが明らかにされ,一転してアレルギーの増悪要因と見なされるようになってきた。さらに最近は,気道組織のリモデリングにも関与することが指摘され,急性炎症のみならず慢性炎症においても重要な役割を担うと考えられている。
そこで,この好酸球のさまざまな作用を,好酸球が関与する代表的な疾患の1つであるアレルギー性鼻炎を中心にまとめてみたい。
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