鏡下咡語
パクス・ヤポニカでは女社会の台頭か
松永 喬
pp.515-518
発行日 2007年6月20日
Published Date 2007/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101072
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Ⅰ.パクス・ヤポニカ
パクス(Pax)とはラテン語で『平和の女神』という意味だそうだ。パクス・ヤポニカは日本の平和,日本における平和と訳せる。山折哲雄氏1)がパクス・ヤポニカ論を展開し,川勝平太氏2)も詳しく述べている。塩野七生氏の『ローマ人の物語』のなかのパクス・ロマーナ3)(ローマによる平和)が有名な言葉でもある。
縄文時代から現在までの約1万年の日本の歴史のなかで戦争がなかった平和な時代(パクス・ヤポニカ)が3回ある。平安時代後期,江戸時代後期と現代である。これらの時代にはいずれも人口の定常化の傾向がみられることから,社会学者はこの間に何らかの女性の社会的意思の向上があったのではないかと考えている。つまりパクス・ヤポニカには人口問題が絡んできている。そこで本稿は日本の人口問題からはじめる。
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