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Ⅰ はじめに
わが国では2003年から特定機能病院の入院診療においてDPC(diagnosis procedure combination)が導入され,その後,一部の公私病院に広がりつつある。こうした包括医療には大きく2つの意味合いがあり,1つは高齢化社会を反映し1人の患者が多くの疾患を抱えるようになって総合的に医療を施す必要性を指し,もう1つは支払い方式が出来高ではなくいわゆる丸めとされ,疾患ごとに診療報酬が固定されることを意味する1)。今日的には後者の意味合いが特に強く,すでに多くの国公立大学が独立法人化しており,大学病院も費用対効果を常に念頭に置いた診療を求められている。こうした背景もあり,クリニカルパス(clinical path:以下,パス)が導入されている施設も多くなっている。大学病院は比較的若い医療従事者が多いこと,組織が大きく複雑であること,医師に関していえば勤務交代が多いことなどからパスを導入することの意義は大きいとされている2,3)。
特発性末梢性顔面神経麻痺(Bell麻痺)に対する治療は,原則ステロイド薬や抗ウイルス薬による保存的治療でありHunt症候群に比べると治癒することが多いため,当科では外来治療を中心に行っている4)。ただし,Bell麻痺といっても皮疹が出現しないzoster sine herpeteが含まれていることがあり,重症例もみられ対象となる症例は少ないが顔面神経減荷術を行うこともある5)。こうした症例に対する顔面神経減荷術は,術後比較的一定の経過が予測されるため全例パスの適応として導入可能である6)。
以下に筆者らの特発性顔面神経麻痺に対する治療方針と,顔面神経減荷術に作成・導入しているパスの一部を紹介し概略を述べるとともに,有用性や問題点などを挙げる。
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