特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科における手術の危険度
耳
10.顔面神経減荷術
村上 信五
1
,
渡邉 暢浩
1
1名古屋市立大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.47-50
発行日 2002年4月30日
Published Date 2002/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902528
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はじめに
側頭骨内を走行する顔面神経の長さは28〜30mmであるが,炎症や外傷により顔面神経が傷害されると浮腫をきたし,骨性の顔面神経管内で絞扼され,神経内圧の上昇と圧迫による循環不全により神経障害が助長される。顔面神経管開放術(減荷術)は骨性の顔面神経管を開放し,厚い神経鞘を切開することにより,神経内圧を減少させ,神経の変性防止と再生促進を目的としている。しかし,顔面神経は側頭骨内で三半規管や蝸牛など内耳に近接しているため,手術時にこれらの器官を損傷したり,乳突蜂巣の削開の際にS状静脈洞や天蓋の脳硬膜を損傷する危険性がある。
本稿では,経乳突的顔面神経減荷術1)における術中,術後の合併症とその予防,対処について述べる。
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