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特集 見逃してはならない耳鼻咽喉科疾患—こんな症例には要注意!
《耳領域》
特発性顔面神経麻痺(ベル麻痺)だと思っていたら顔面神経鞘腫だった!
Facial nerve schwannoma misdiagnosed as Bell's palsy
濵田 昌史
1
Masashi Hamada
1
1東海大学医学部耳鼻咽喉科
pp.1010-1012
発行日 2018年11月20日
Published Date 2018/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411201866
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Case
患者は49歳,男性。
1週間前からの左顔面麻痺を主訴に神経内科より紹介され受診した。前医での脳MRIで異常なしとされ,ベル麻痺と診断されていた。初診時麻痺スコアは22/40点。純音聴力検査結果は左右差なく正常であった。アブミ骨筋反射は両側ともに反応があった。外来通院にてハイドロコルチゾン点滴を行い,発症後2か月で完全治癒した。
その1年5か月後,めまいを主訴に再初診した。その10日後には左顔面神経麻痺の再発を確認したが(20/40点),発症日時ははっきりしなかった。聴力検査にはやはり異常なかった。メコバラミン内服で経過をみるも,不全麻痺にもかかわらず,その後2か月までに麻痺の改善は認められなかった。
この時点で腫瘍性顔面神経麻痺を疑い造影MRIを撮影したところ,左膝部を中心に腫瘍性陰影を認めた(図1a)。また,順序は逆になるが,側頭骨CTも撮影し,迷路部〜膝部顔面神経の腫大,中頭蓋窩底の骨欠損を確認した(図1b)。
不全麻痺であったためいったんはwait & scanの方針とし,その後,麻痺は30点程度まで改善したものの頭打ちとなり,一方で腫瘍の確実な増大を認めたため,手術的治療を選択した。手術は経乳突的アプローチにて行った(図2)。不全麻痺であり,中枢側の顔面神経断端確保の困難が予想されたため,意図的に神経移植は避け,顔面神経刺激装置を用いながら被膜内減量のみ実施した。術後の麻痺スコアはやはり30点程度と変化を認めなかった。
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