Japanese
English
特集 耳鼻咽喉科とウイルス
3.ウイルス性顔面神経麻痺
3. Viral facial palsy
村上 信五
1
,
江崎 伸一
1
Shingo Murakami
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科耳鼻神経感覚医学
pp.31-37
発行日 2006年1月20日
Published Date 2006/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100005
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Ⅰ.はじめに
顔面神経麻痺は種々の原因で生じるが,ウイルスにより発症する頻度は高い。なかでもヘルペス科ウイルスの関与が大きく,末梢性顔面神経麻痺の約60%を占めるBell麻痺は,これまで原因不明とされてきたが,その主病因が単純ヘルペスウイルスⅠ型(herpes simplex virus typeⅠ:以下,HSV-Ⅰ)であることが明らかになってきている1)。また,Bell麻痺に次いで高頻度(約15%)のRamsay Hunt症候群2)も同じくヘルペス科の水痘-帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus:以下,VZV)により生じ(図1),さらにEBウイルス(Epstein-Barr virus:以下,EBV)3)やサイトメガロウイルス(Cytomegalovirus:以下,CMV)4),human herpes virus 6,74)による麻痺の報告も散見される。ヘルペス科以外のウイルスでは,ムンプスウイルス(mumps virus)5)やヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus:以下,HIV)6),ヒトT細胞白血病ウイルスⅠ型(human T-cell leukemia virus typeⅠ:以下,HTLV-Ⅰ)7)などがあり,末梢性顔面神経麻痺におけるウイルスの関与は大きい。本稿では,顔面神経麻痺をきたす代表的なウイルスと疾患について,診断,病態,治療の現状と将来の展望について述べる。
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.