連載 眼科手術のテクニック—私はこうしている・41
ブラウンの手術
澤 充
1
1東京大学医学部附属病院角膜移植部
pp.682-683
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410908478
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手術手技
麻酔は点眼(キシロカイン1または2%)のみで十分なことが多い。病的結膜部は図1のように血管の怒張が強いのでエピネフリン(5,000倍)1滴点眼後しばらく閉瞼すると血管の怒張を軽減できる。上,下直筋に6-0絹糸で制御糸をかけ眼球の固定をおこなう。切除対象となる結膜の範囲は角膜病変部(混濁,菲薄部)に対応する部位を中心とする。正常な結膜上皮は透明性があり,光沢もあるのに対し,病的結膜は白濁しているので両者を手術用顕微鏡下で識別する。結膜鑷子と結膜剪刀にて切除結膜部の外縁を切開後(図2),結膜円蓋部の方向から角膜輪部に向かって結膜の切除をすすめる。角膜内に伸展した病変部はマイクロブレード(ビーバー社製,6900が使いやすい)を使用し表層を剥離するように切除する。露出強膜部の出血はウエットフィールドバイポーラまたはパクレンにて止血する(手術終了時に輪部に沿って強膜の熱凝固をおこなうと手術効果がよいと考えられるのでパクレンのほうがよい)(図3)。結膜断端部も止血を兼ねてパクレン処理をする。必要があれば正常結膜断端を強膜に8-0絹糸で単結紮縫合する。強膜の露出部は通常被覆する必要はない。手術終了時,抗生物質の軟膏を点入し圧迫眼帯とする。全身的には鎮痛剤,抗生物質の内服をおこなう。
術後経過としては角膜病巣部の改善の有無,前房内炎症の程度,結膜切除端からの結膜の再生状態を中心に観察をおこなう(図3,4)。
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