Japanese
English
特集 第43回日本臨床眼科学会講演集(4)1989年10月 名古屋
学術展示
特異な経過をたどった原田病の1例
A case of Harada's disease with unusual clinical course
石崎 登
1
,
森下 清文
1
,
中島 正之
1
,
渡辺 千舟
1
Noboru Ishizaki
1
,
Seibun Morishita
1
,
Masayuki Nakajima
1
,
Chifune Watanabe
1
1大阪医科大学眼科学教室
pp.886-887
発行日 1990年6月15日
Published Date 1990/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410908191
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
緒言 原田病では時に,診断困難な症例に遭遇することがあるが,今回我々は内眼筋麻痺を伴い発病初期に地図状網脈絡症に類似した眼底所見を呈し,経過中に一過性の強い回転性めまいを伴った,極めて特異な原田病の症例を経験したので,ここに報告する。
症例 21歳,男性。主訴および現病歴:1989年1月24日より右眼が充血し27日に右眼の視力障害出現,28日には左眼も視力障害出現したため,28日に近医を受診し,2月1日当科を紹介された。既往歴,家族歴:特記すべきことなし。初診時所見:視力はRV=0.01(0.3×−9.0D=C−1.0DA×180),LV=0.01(0.15×−11.0D)。眼圧はRT=12, LT=11mmHgで角膜にprecipitate(2+),前房にはcell(2+),flare (+)を両眼に認めた。隅角は特に異常なく,瞳孔径は両眼とも 6.0mm で,対光反応はほぼ消失しており,中心CFF値は33 Hz (両)であった。眼底所見では乳頭の発赤と,周辺部網膜に淡黄色混濁を認め(図1),螢光眼底で同部に一致した過螢光を認めた(図2)。血液生化学的所見では特に異常所見を認めず,単純ヘルペス,水痘,帯状ヘルペス,サイトメガロウイルスなどの各種ウイルス抗体価も陰性であった。
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.