連載 眼の組織・病理アトラス・44
老人性円盤状黄斑変性症
石橋 達朗
,
猪俣 孟
1
1九州大学
pp.786-787
発行日 1990年6月15日
Published Date 1990/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410908168
- 有料閲覧
- 文献概要
老人性円盤状黄斑変性症 senile disciform macular degeneration (SDMD)とは,高齢者の眼底の黄斑部に脈絡膜より新生血管が発生し,網膜色素上皮下あるいは網膜下に出血や滲出性病変を生じ,ついには瘢痕組織を形成する疾患である。60歳以上の高齢者で男性に多くみられる。本症は黄斑部を障害するため,急激な視力低下や中心暗点を自覚することが多く,高齢者の中心視力障害の主な原因のひとつとして注目されている。最近では加齢黄斑変性症age-related macular degen-eration (ARMD)とも呼ばれている。
臨床的には,黄斑部に小さな黄白色斑や大型の漿液性網膜色素上皮剥離あるいは網膜剥離を呈する初期病巣,網膜下あるいは網膜色素上皮下に円形の出血が出現する出血期病巣(図1),本症の典型的な病巣である黄白色の円盤状の円盤状病巣(図2),終末像である灰白色の瘢痕病巣などを呈する。螢光眼底造影は本症の診断に不可欠で,病巣内に網目状あるいは車軸状の血管網が造影される。この血管網は脈絡膜からの新生血管であり,急速に螢光色素の漏出がおこる。
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.