特集 EBM確立に向けての治療ガイド
ぶどう膜疾患
ぶどう膜炎免疫抑制薬治療のEBM
中村 聡
1
,
石原 麻美
1
1横浜市立大学医学部眼科学教室
pp.164-171
発行日 2001年9月28日
Published Date 2001/9/28
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907511
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ぶどう膜炎と免疫
免疫応答とは,微生物をはじめとする環境からの侵襲(非自己の抗原)を排除する目的で起こる一連の生体反応であり,個体が生存するために不可欠な反応である。しかしこの反応はときに過剰に働き,自身に害を及ぼす場合がある。眼科領域においてぶどう膜炎は免疫応答の亢進によって引き起こされる疾患の代表であり,治療にあたっては,現時点で選択できる免疫抑制薬の効果と副作用を十分理解している必要がある。
現在臨床の場で用いられている主な免疫抑制薬として,プリン代謝拮抗物質であるアザチオプリン(イムラン),6—メルカプトプリン,ブレディニン(ミゾリビン),細胞毒(アルキル化薬)であるシクロフォスファミド(エンドキサン),あるいはいわゆるイムノフィリンリガンドのシクロスポリン(サンディミュン)などがある。いずれも副作用や管理の難しさを考えると,原因不明の難治性網膜ぶどう膜炎や,重篤な眼発作を頻発するベーチェット病のような症例にその適応があり,日常的に用いられるものではない。以下にシクロフォスファミドとシクロスポリンの特徴と使用法,使用上の注意について述べる。
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