特集 EBM確立に向けての治療ガイド
ぶどう膜疾患
ぶどう膜炎併発白内障における手術成績
薄井 紀夫
1
,
鎌田 研太郎
1
,
毛塚 剛司
2
,
臼井 正彦
2
1東京医科大学八王子医療センター眼科
2東京医科大学眼科学教室
pp.172-181
発行日 2001年9月28日
Published Date 2001/9/28
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907512
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緒言
ぶどう膜炎に対する治療の基本は,適切な抗炎症療法を行うことによって虹彩,毛様体,脈絡膜の炎症性変化を最小限に抑えながら,周囲の角膜,線維柱帯,水晶体,硝子体,網膜,視神経などに及ぶ影響を可能な限り防ぐことにある。したがって,もしぶどう膜炎の初期治療において完全な消炎ができれば,ほとんどの場合において手術治療の必要性はないわけである。しかし,実際にはぶどう膜における短期間の著しい炎症や,あるいは炎症の遷延化や可燃により,ぶどう膜および周囲組織において保存的治療だけでは不可逆的な障害が発生する結果,手術療法が必要となる。
ぶどう膜炎において手術が必要な局面は,ぶどう膜炎併発白内障に対する白内障手術,続発緑内障に対する周辺虹彩切除術や線維柱帯切除術,感染性ぶどう膜炎やサルコイドーシスあるいは悪性リンパ腫の眼内浸潤などにおける硝子体混濁およびウイルス性壊死性網脈絡膜炎に合併する網膜剥離に対する硝子体切除術などである。その他,非観血的な手技として光凝固療法が適応となる場合もある。いずれの手術においても,ぶどう膜に炎症を有している眼に対して,あるいは炎症の既往があった眼に対して外科的な侵襲を加えることでさらに炎症を誘発する危惧が考えられ,以前はその適応に関してかなり慎重に判断されてきた。
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.