やさしい目で きびしい目で・16
出逢い
亀山 和子
1
1東京女子医科大学
pp.657
発行日 2001年4月15日
Published Date 2001/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907284
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出逢いとは不思議なものである。恩師との出逢い,友人,仲間,先輩,後輩,配偶者との出逢いなど,いろいろな出逢いがあるが,患者さんとの出逢いもその1つである。特に慢性疾患をもつ患者さんとは何年にも及ぶつきあいが始まるのである。
新患では,アナムネーゼをとるのに担当した初診医により診断に行きつくまでの時間が異なる。患者さんの性格により症状の訴え方が違う。正確に話す者と,訴えたいことに行きつくまで時間のかかる者とがある。初診医は主訴からさまざまな病態を想像し,診断に必要な検査を選ばねばならない。比較的短時間で必要な検査に行きつくものは特に問題ないが,誘導してはじめて診断に重要な症状を訴えるものも多い。“Listen to the patient, he is telling the diagnosis”は糖尿病学の平田幸正先生が好まれ,よくおっしゃった言葉である。患者さんの話の中に診断に重要な言葉があり,これをきちんと捉えられるか,聞き流すかで診断に行きつく経過が異なるのである。
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