悲しみを癒してくれる存在，その出逢いと別れ

　ファンタジーという表現法の秘められた可能性について，涙を抑えきれないほどの深い感動を持って実感したのは，久しぶりのことだった。アメリカの絵本『悲しみのゴリラ』だ。

　文章も絵もそれぞれに，大切な大切な人を失った者の喪失感と深い悲しみの心模様を，心憎いまでの語り口と画面構成とで表現しているのだ。