理学療法学科新入生への学生生活オリエンテーション
意識の変容,そして人,書物との出逢い
中山 彰一
1
1九州リハビリテーション大学校
pp.279
発行日 1989年4月15日
Published Date 1989/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102763
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本稿は学生生活へのアドバイスについて依頼を受けたのであるが,なにせ筆者自身がまったくいい加減な学生生活を体験してきたので,とてもおこがましくて書けるものではない.一方,落ちこぼれであった自分がもしも学生生活がこうであったならと反省の意味も含めて述べたとしても,理学療法士としての将来にプラスになるかどうかと疑問でもある.まあ,恥ずかしながら過去の体験と未熟な学生指導の立場から新入理学療法学科学生へのアドバイスを簡単に述べてみたい.
厳しい受験戦争を乗り越え念願の志望校へ入学できた喜びは,人生のさまざまな出来事の中でも数少ない感動の一つである.しかし,その喜びも短い3年間の学生生活で甘え,苦しみ,悩み,諦め,逃避などへと様相を変えてしまうことも事実である.しかも,背景は違えども,卒業後理学療法士となっても延々とこれらの事実を引きずって,いや引きずらざるをえないのが現状かもしれない.だが,こう言い切ってしまうと何とも言えない虚無感にさらされてしまいそうになるが,これは筆者をはじめとしすでにこの時代を通り過ぎてしまった者たちの押し付けがましい遠吠(ぼ)えと聞こえるかもしれない.しかし,人生論的観点より観れば逆に人間的・社会的成長,進歩,発展性が生まれるためにはこの事実の存在が重要なのである.このことが,前向きな創造的生きかたを学ぶための種ともなるもので,真に表裏一体を成すものであると言える.
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