特集 眼科検査法を検証する
Ⅲ.緑内障
SLOを用いた前眼部螢光造影
川崎 貴子
1
1福岡市民病院眼科
pp.125-127
発行日 1998年10月20日
Published Date 1998/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410906086
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
検査の目的
本検査は,走査レーザー検眼鏡(scanning laser ophthalmoscope:SLO)を用い,インドシアニングリーン(ICG)とフルオレセインナトリウム(フルオレセイン)を造影剤に使用して,前眼部の新生血管を検出することを目的としている。過去にも,虹彩および隅角の新生血管を早期に発見するための検査として,フルオレセインを用いた造影検査が行われてきた。フルオレセイン造影は新生血管を鋭敏に検出するが,色素の血管外漏出が早期に生じるため,新生血管の観察を隅角全周にわたり,1回の検査で行うことは困難である。一方,ICGを用いた造影検査では,造影後期に至るまで色素漏出がほとんどないので,血管構築の詳細な観察が可能である。また,撮影にSLOを用いることで,鮮明な画角の広い画像が得られ,ビデオ記録による動的観察も可能である。
対象疾患としては,血管新生緑内障を高頻度に発症しうる疾患,すなわち眼組織の血液供給不全の状態となる疾患があげられる。代表的なものとしては,網膜中心静脈閉塞症,糖尿病網膜症,内頸動脈閉塞症などである。本検査は,隅角鏡検査で新生血管の存在があるか,存在が考えられる場合に行われ,前眼部新生血管の有無の診断が可能であるとともに,血管新生緑内障の進展を阻止するのに効果的なレーザー治療のガイドとなるものである。
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.